〜がんの発生は、いろいろな過程を経て完成〜
このうち最も広く認められているのが発がん2段階説。これは、がんの発生は大きく分けて2つのステップを踏んで起こる、という考え方で、最初の提唱者はべーレンブルム博士とされている。
彼はマウスの皮膚に強力な発がん物質であるベンツピレンを、がんが発生しない程度に一度塗り、次に発がん性ないとされているクロトン油を同じ場所にくり返し塗って、がんを発生させたのである。ところが、ベンツピレンやクロトン油だけを塗ったマウスにはがんは発生しなかった。そこで、彼は次のように考えたのである。
正常細胞ががん化するには、正常細胞に突然変異を起こさせるイニンニーンョン(起始)が必要であるが、それがすべてがんにつながるわけではない。
生体の免疫作用によって殺されてしまう細胞もあるし、次世代への細胞分裂が起こらないまま死滅する細胞もあり、イニシエーションの起こった細胞を増殖させ、腫瘍化へ導くには、さらにプロモーション(促進)というステップが必要になってくる――という考え方である。